現地コラム
COLUMN

西表島から水牛車で海を渡る由布島!その魅力を徹底解説!
由布島
みなさまは沖縄県にある離島、西表島をご存知でしょうか。
特別天然記念物のイリオモテヤマネコが有名であったり、世界自然遺産の候補地であったりと、少なくとも名前を知っている方が多いのではないかと思います。
では、そんな西表島から渡ることのできる由布島はご存知でしょうか。
由布島は、西表島観光におけるNo.1の観光スポットとの呼び声も高い場所で、沖縄県全体で見ても随一の魅力を数多く秘めた島です。
今回は、そんな由布島について、基本的な知識から特に見ておきたい名スポットまで、さまざまな角度でご紹介していきたいと思います。
由布島ってどんなところ?
ではまず、由布島がどんな土地なのかを見ていきましょう。
那覇市のある沖縄本島からさらに南西へと400km以上進んだ地点に、石垣島、鳩間島など10の有人島を含んだ八重山諸島があります。
八重山諸島の一つである西表島は、沖縄本島に次いで県内2番目の面積を誇る広大な島で、島の大部分がジャングルに覆われた島として有名です。
由布島は、そんな西表島からわずか400mほどの、目と鼻の先とも言える距離に遠浅の海を隔てて位置しています。
由布島の周囲は、2.15キロメートル、徒歩で島を一周ゆっくり巡っても一時間ほどで回れてしまう程度と決して大きい島ではありません。
人口も2020年時点で15人しかおらず、大きなコミュニティが根付いているという島ではないことがわかるでしょう。
では何故、由布島は観光スポットとして高い人気を博しているのでしょうか。
大きな理由として挙げられるのは、沖縄本島よりもさらに遥か南西という立地による温暖な気候です。
由布島は本土とは異なる亜熱帯気候。
それ自体は付近の他の島々も同様なのですが、由布島はその亜熱帯気候に適した多くの植物を人為的に植樹しており、島全体が亜熱帯植物園として整備されています。
南国代表とも言えるヤシの木は20種類ほど植えられており、ヤシの木でできた並木道を歩けるポイントは独特の景観で人気を集めています。
ハイビスカスやブーゲンビレアといった、温暖な気候ならではの花々も数多く目にすることができ、亜熱帯植物が咲き誇った様子は、非常にフォトジェニックな彩りです。
さらに植物のみならず、亜熱帯特有の動物たちの姿を見ることもでき、沖縄県内全体で見ても特別感のある南国らしさを味わえるのが人気の要因の一つと言えるでしょう。
さて、由布島は西表島にある与那良川から海流によって流れてきた砂が堆積することで生まれた島です。
沖縄県の離島は、地殻変動による海山の隆起やサンゴ礁の隆起によって生まれた島が多く、由布島はかなり特殊な成り立ちの島だと言えます。
そんな由布島には、竹富島や黒島から人々が移り住んでいたという歴史があり、かつては多くの人々で賑わっていました。
しかし、1996年に訪れた巨大台風で生じた高潮によって由布島は壊滅的な被害を受け、多くの死傷者を出してしまい、生き残った方の大半も隣の西表島へと移り住んでしまったのです。
由布島の人口が減少していくそのような状況下において、3つの世帯だけが島に残り続けました。
その中でも、島の復興に大きな役割を果たしたのが、西表正治おじいと呼ばれていた方です。
西表正治おじい夫婦は、再び島に人々が戻ってくることを願い、島中に亜熱帯の植物を植え続けたそうです。
今ではその懸命な想いが実を結び、かつてのコミュニティ復興とは異なる形ではありますが、西表島観光における一番の人気スポットとさえ言われるほどの観光地へと成長を遂げました。
西表正治おじいは平成15年にご逝去されましたが、孫娘の方が水牛車の御者を務めているなど、彼の情熱は今も由布島の根幹に根付いています。
観光スポット
それでは島の地理と歴史を知ったところで、具体的な観光スポットをチェックしていきましょう。
見所がギュッと詰まった島ですが、そんな中でも特に注目したいポイントを3ヶ所ピックアップさせていただきました!
①水牛の池
由布島に訪れた際、第一の注目スポットは水牛の池です。
由布島では多くの水牛が飼われていて、西表島から由布島へと向かうための交通手段にも水牛車が用いられています。
その水牛車の待合所の近くにあるのがご紹介させていただく「水牛の池」です。
由布島に着いて最初に目にする観光スポットであると言えるでしょう。
水牛の池は二つあり、片方は仕事前の水牛たちが水に浸かる、いわゆる朝風呂用。
もう一つは、休憩中の水牛たちが体を休める場所となっています。
肩までとっぷりと池に浸かっている子もいれば、砂の上でごろりと寝転んでいる子もいるため、水牛たちは個体ごとに個性がさまざま。
基本的にとても人懐っこい子が多いのですが、その秘密は由布島と水牛たちの関わり方にあります。
由布島は水牛たちを酷使しません。
育成にはたっぷりと時間を掛け、こまめに交代させて休みを与えられるよう数を多く育て、他の水牛同士での喧嘩を止める時くらいにしか叩くことはありません。
年齢が上がって働けなくなった水牛たちも処分されるようなことはなく、いわば定年のような形でのんびりと余生を過ごしたり、沖縄本島で観光用のゆったりとした仕事に回されたりとさまざま。
決して無理をさせないよう大切に育てられていて、そんな環境だからこそよく人間に懐いているのでしょう。
穏やかな環境で大切にされた水牛たちの様子を見れば、心が癒されること間違いなし!
また、水牛の池には生まれたばかりの水牛の赤ちゃんが繋がれていることもあります。
タイミングが良ければとても可愛らしい赤ちゃん水牛を見ることもできますので、由布島に到着した際はぜひ水牛たちに注目してみてくださいね。
②蝶々園
由布島観光の第二の注目スポットは蝶々園。
ここは沖縄名物である日本最大級の蝶、オオゴマダラを観ることができる場所です。
オオゴマダラが主に分布しているのは、由布島を含む八重山諸島で、特に由布島はオオゴマダラの繁殖が最も盛んに行われていることで有名な地です。
オオゴマダラの特徴は、羽を広げると13cmにも及ぶその大きさ。
羽は白黒のモノトーンで、ひらひらと舞う姿が新聞紙に見えるとして「新聞蝶」というあだ名で呼ばれることもあるユニークな蝶です。
その美しい姿に加え、人を怖がらずにふわふわと近寄ってくる性質が大きな特徴の一つと言えます。
これは、幼虫の頃に主に食べる葉に毒性があることから、鳥などに捕食されにくいことが大きく関わっており、人にとって毒があるわけではないので鑑賞するのに非常に適しているのです。
特に赤い色を好む習性があるようなので、由布島を訪れる際は赤い服を着ていけば蝶たちの愛らしい姿をより間近で観察できるかもしれません。
ちなみにオオゴマダラのサナギは黄金色に輝いていて、直で見ると神秘的なその姿にきっと感動することでしょう。
由布島ではオオゴマダラの繁殖が盛んなため、そのサナギを一年中いつでも見ることができますよ。
③貝の館
三つ目にご紹介させていただくのは貝の館。
ここは西表島近海に生息する貝をはじめ、深海に生息する生き物などを展示しているミュージアムです。
館内の内装は海をイメージしたものとなっており、流木や貝殻などの装飾が飾られています。
併せてウミガメやヤシガニのはく製、巨大な貝殻などを見れば、まるで由布島・西表島の美しく豊かな海に入り込んだかのような気分を味わえることでしょう。
色々な種類の貝の展示があるため、貝マニアの方からお子さん連れのファミリー層にも人気があります。
また、由布島の中でも最も新しく作られた観光スポットなため、とても綺麗な佇まいをした施設です。
老若男女問わず利用しやすい整った施設ですので、ぜひ忘れずに訪問しておきたいですね!
由布島へのアクセスは?
由布島の人気の一端を支えているのはそのアクセス方法。
沖縄県において、離島へとアクセスする際は飛行機や高速船などの交通機関が基本となります。
しかし、上で述べたように、由布島の位置は西表島から目と鼻の先。
浅瀬の海を隔てているだけですので、島から島への移動には船ではなく水牛が牽引してくれる水牛車が用いられます。
西表島から由布島までは、水牛車で青い海の上をゆったりと歩いて30分ほど。
御者を務めてくれるオジイの方によってサービスが異なる点もユニークで、三線を演奏してくれたり、琉球民謡を歌ってくれたり、はたまたこれといったサービスはしない方もいたりとなんとも自由。
おおらかなムードと水牛のゆったりとした歩みが相まって、沖縄ならではののどかな時間を味わえるとして人気が高いです。
由布島のグルメ
①由布島茶屋
由布島茶屋はマンタのモニュメントが近くにあるお茶屋さんです。
モニュメントがある理由は、近くのヨナラ水道という海峡にマンタがしばしば出現するためです。
由布島は西表島だけでなく石垣島、黒島、小浜島からも近く、その八重山諸島の島々を一望できるビーチを有しています。
ヨナラ水道は、そんな由布島と小浜島との間を隔てている海峡です。
マンタが多く遊泳していることから「マンタの通り道」と称され、人気のダイビングスポットとしても名高いスポットにもなっています。
そんな観光スポットの近くにあることから、由布島茶屋は観光の合間に立ち寄るのに最適な立地です。
ここでは、沖縄ならではの素材を使った個性的なジェラートを食べることができます。
例えば、西表黒糖、春うこん、黒糖漬けラムレーズンなどに加え、泡盛味といった変わり種まで多種多様のフレーバーがあります。
さらにコーヒーにもこだわっており、その日の天気や気温に合わせて高品質のスペシャルなコーヒーを提供してくれます。
ロケーション、味ともに格別なお店ですので、由布島観光の合間にぜひ足を運んでみてください!
由布島観光とセットで遊べるアクティビティ・ツアー
由布島は観光スポットが目白押しの島ですが、広さはそれほどでもないため西表島のスポットと併せて巡るのが定番です。
ここからは、そんな各種ツアーの中から特にオススメ度の高いものをご紹介してみたいと思います。
①キャニオニング&由布島観光
西表島の大自然が作り出した、天然の滑り台や飛び込み台、滝つぼなどで遊べるキャニオニングはお子様から大人まで大満足に楽しめる西表島屈指の遊びです。
飛び込んだり危険じゃないの?と思われる方もいるかと思いますが、ライフジャケットやヘルメット、マリンシューズなど安全備品は無料で貸し出しし、担当ガイドが無理のない人数を担当しますので安心してご参加いただけます。
キャニオニングの非日常体験は爽快感抜群です!
そんなキャニオニングと由布島観光のセットツアーをチェック!!
②幸運の滝を目指すマングローブSUP/カヌー&由布島観光
「幸運の滝」を目指すマングローブSUP/カヌーでは、SUP又はカヌーで川の上流を目指し、その後トレッキングで「幸運の滝」を目指すツアーです。
SUPとは、Stand Up Paddleの略で、写真の通りサーフボードのようなボードの上に立ち、パドルを漕ぐ遊びです。ピピのツアーでは比較的立ちやすいボードを採用しているのでどなたでもお気軽にトライしていただけます。
カヌーは通常2人乗りで、SUPよりも安定感抜群なので、お子様と乗ったりカップルで一緒に乗ったりすることができます。
SUPかカヌーかお好きなアクティビティを選んで参加できるマングローブSUP/カヌーと由布島観光のセットツアーをチェック!!
③バラス島シュノーケリング&由布島観光
バラス島とは西表島から船で約10分の所に位置するサンゴでできた孤島です。そんなバラス島周辺にはカラフルなサンゴ礁や魚たちが棲息しており、シュノーケリングを楽しむことができます。
沖縄離島に来たからにはシュノーケリングせずには帰れません!
バラス島シュノーケリング&由布島観光のセットツアーをチェック!!
④ピナイサーラ滝&由布島コース
まずご紹介するのは、沖縄随一の落差を誇るピナイサーラの滝巡りと由布島観光がセットになったプランです。
西表島のヒルギ林が多く生育するジャングルの中をカヌーで約40分漕ぎ進めてから、ピナイサーラの滝に向かってトラッキングを敢行します。
少しばかり体力が必要ですが、その景色はまさに絶景!マイナスイオンたっぷりのピナイサーラの滝では、豪快に落ちる水しぶきが日々のストレスを洗い流してくれること間違いなしです。
ピナイサーラの滝を存分に堪能したら、次はお待ちかねの由布島観光へ。
アクティビティで体をたっぷりと使った後ですので、水牛車のかすかな揺れに身を任せながら美しい景色を眺めていると心地よい眠気に襲われてしまうかもしれません。
由布島に到着した後は、ぜひ上でご紹介させていただいたスポットを巡ってみましょう。
※現在ピピではピナイサーラの滝&由布島観光のセットツアーは開催していません。
⑤サンガラの滝&由布島観光ツアー
西表島には数々の滝がありますが、サンガラの滝はその中でも随一のアクティビティスポット。
短時間でカヌー、トレッキング、滝遊びが一度に体験できることで密かに人気沸騰中の滝となっています。
この滝が他の滝と異なっている大きな特徴は、滝の裏側に入ることが出来るという点です。
幅が約30mにも及び、水量が多いことでも有名なサンガラの滝の裏側から水流を透かして西表島の大自然を見れば、また少し違った風情を味わうことができますよ。
滝壺への飛び込みもできるので、一緒に訪れた家族やお友達、恋人などとチャレンジすれば盛り上がって楽しめるかもしれません。
大自然に囲まれた環境で、たっぷりとマイナスイオンを浴びられる水遊びは、最高の贅沢になること間違いなしです!
さいごに
以上、西表島のお隣の島、由布島についてご紹介させていただきました。
西表島から水牛で海を渡っていくのは他の場所では味わえない風情があり、沖縄らしいゆったりとした時間の流れを味わえるのでとてもオススメです。
珍しい動植物との触れ合いや美味しいグルメを楽しめる由布島で、ぜひ最高の南国体験を味わってみませんか?