現地コラム

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多様性の宝庫、西表島で生物観察しよう!

2021-01-13 03:36

西表島で様々な生物を観察!

アゲハチョウ
西表島について詳しく知らない人でも、イリオモテヤマネコは知っているという方も多いのではないかと思います。
特別天然記念物であるイリオモテヤマネコが生息しているのと同じように、西表島にはここでしか見ることのできないさまざまな生き物によって独自の生態系が築かれているのです。

西表島の大自然は世界遺産候補地

西表島の環境は世界的に見ても稀有な大自然であり、そのことがユネスコから評価されて2020年現在、世界自然遺産の候補地とされています。
認定されるか否かを決定する会議が感染症の流行によって延期となってしまったため候補地のまま保留となっている状態ですが、候補として名を挙げられるだけでも大変価値が高いことです。

海に囲まれ島は9割が森林

西表島のジャングル
西表島が今のような環境を築けた理由は、周囲が海に囲まれた孤島だという点が大きく寄与しています。
その閉ざされた環境から島内だけで生態系が完結しており、外から外来種が入ってくることがありません。
そして島の面積のうち、なんと9割以上が人間による開発が行われていないままの原生林となっています。
そんな豊かな自然環境が外的要因によってバランスを崩されることもなく歳月を重ねてきたことが功を奏して、現在の奇跡的な環境が築き上げられるに至ったのです。

まさに生き物の宝庫

西表島を称賛する言葉として、あのガラパゴス島になぞらえて「東洋のガラパゴス」と呼ぶことがあります。
西表島の環境はまさに生物の楽園。
私たちにとっても美しい自然を目にすることができる人気の観光地ですが、あくまでこの島の主役は人間ではなく動物や植物たちなのです。

西表島で見られる海の生き物

西表島を取り囲む青い海には、本土であれば水族館でしか見ることのできない生物たちが悠々と泳いでいる姿を見ることができます。
今後みなさまが西表島を訪れてくださる際の参考に、島の海で出会えるかもしれない生き物たちの一例をご紹介していきましょう。

ウミガメ

ウミガメ
おとぎ話やアニメ映画でよく見かけるウミガメは、現在絶滅危惧種に指定されてしまっている稀少な生き物です。
水族館以外ではなかなか実物と出会うことができませんが、なんと西表島ではアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイと3種類ものウミガメたちと高い確率で出会うことができます。
ウミガメたちが産卵を目的として岸に近い位置を泳いでいる5月から9月にかけての時期であれば、シュノーケリング中に運次第でウミガメたちの姿を目にすることができるでしょう。

マンタ

マンタはエイの仲間であり、2~5mほどの大きく平たい体を巧みに使い、羽ばたくように泳ぐ姿が印象的な生き物です。
マントに似ていることが名前の由来であることからわかるように遊泳姿は大変優雅で、シュノーケリング中に出会える生き物として高い人気を誇っています。
このマンタも絶滅危急種として認定を受けている稀少な生き物なのですが、西表島近海ではナンヨウマンタとブラックマンタの2種と出会うことが可能です。

カクレクマノミ

クマノミ
ファインディング・ニモという映画の主役として一躍知名度を高めた熱帯魚カクレクマノミも、西表島の海で見かけることができます。
臆病な魚ですので、迂闊に近づいて脅かしてしまうとすぐに共生しているイソギンチャクの影に隠れてしまいます。
出会えた際にも、怖がらせないようそっと近づいて観察するようにしましょう。

ハンマーヘッドシャーク

ハンマーヘッドシャークはその名の通り、頭部がハンマーのような形をした大変ユニークなサメです。
サメと聞くと不安になるかもしれませんが、ハンマーヘッドシャークは基本的に人を襲いません。
運が良ければシュノーケリング中に群れと出会うこともでき、銀色のサメが力強く泳ぐ光景は感動を与えてくれること間違いありません。

サンゴ

サンゴ
沖縄の海といえばサンゴ礁。
西表島の海でももちろん色とりどりのサンゴを目にすることができます。
近年、沖縄では環境の変化などが原因で、サンゴが死滅して白化してしまうという現象が問題になっています。
しかし、西表島近郊の海は比較的環境が良く、特に島内奥地の方にあるいくつかの浜辺ではイキイキとした色合いを保っているサンゴを鑑賞することができるのです。

ルリスズメダイ

ルリスズメダイ
西表島の海で見ることのできる熱帯魚たちの中でもその美しさから高い人気を有しているのが、青く光沢のある体をしたルリスズメダイです。
体のサイズは7cmほどと小さな魚ですが、名前の通りの瑠璃色をした姿はまるで宝石のような美しさだと多くの人々に愛されています。
浅めの海でも見かけることができる魚ですので、ぜひ西表島に赴いた際は探してみてください。

海の生き物観察なら!シュノーケリングツアー

シュノーケリングツアー
海の生き物たちと出会いたければ、シュノーケリングツアーに参加するのが最善です。
色々なツアーが用意されていますので、ぜひ自分に合ったプランを見つけて参加してみることをオススメします。

西表島で見られる陸の生き物

次は西表島の陸地で出会える生き物をご紹介していきましょう。
海に負けず劣らず、貴重な生物たちが目白押しです。

イリオモテヤマネコ

イリオモテヤマネコ
イリオモテヤマネコは、西表島にのみ生息しており、山地のふもとから海岸にかけての低地を住処としています。
通常のヤマネコはねずみや兎などの小さな哺乳類だけを餌にしています。
しかし、イリオモテヤマネコはカエルやトカゲ、虫やコウモリなどといった豊富な生物を選り好みなく食べる生態であり、そのおかげで絶滅することなく進化を遂げてきたと言われているのです。
世界的に見ても小さな島にヤマネコのような肉食の動物が暮らせているのは稀な例だそうで、可愛いだけでなく強かな進化を遂げた彼らの姿をぜひ目にしてみてください。

ヤシガニ

ヤシガニ
ヤシガニをご存知でしょうか。
体長40cm以上に達し、甲殻類としては非常に大きな体を誇るヤシガニは、マングローブ林などで出会うことができます。
ヤシガニはヤドカリの仲間にあたるのですが、水の中では暮らすことができない生態であり、基本的には陸上で暮らしているでしょう。
どこかユーモラスな外見をしたヤシガニは食用としても親しまれており、沖縄の風土を知る上でぜひ出会っておきたい生き物です。

オオナキオカヤドカリ

西表島では貴重なヤドカリたちと出会うこともできます。
島内には数種類のヤドカリが生息していますが、その中でもオオナキオカヤドカリと呼ばれるヤドカリは環境省によって準絶滅危惧種に指定されている稀少価値の高い生き物です。
大きな殻を背負って川べりや砂浜を懸命に歩く姿を目にすれば、きっと心癒されることでしょう。

ヤエヤマオオコウモリ

西表島が属している八重山諸島の名を冠したヤエヤマオオコウモリは、首の回りにまるで首輪をしているような白い輪の模様があるのが特徴とされています。
翼を広げた体長は1mを大きく超え、体重は大きいもので400gにも達する大きな体をしています。
その大きさにビックリしてしまいがちですが、人に危害を加えることはなくどことなく可愛げのある生物です。
人を恐れることもないため、島を観光していると人間の生活圏を飛び回っている姿を目にする機会もあるでしょう。

シロハラクイナ

シロハラクイナは八重山諸島近辺でのみ姿を見ることができるツル目の鳥です。
他の土地ではあまり目にすることができない珍しい鳥なのですが、西表島においては道端やそこら中にこの鳥の姿を見かけます。
意識していないと野鳥の一種として見落としてしまうかもしれませんが、あらかじめ貴重な鳥だと知っておけば見かけた時に感慨深いのではないでしょうか。

キノボリトカゲ

西表島ではトカゲすら見逃せない貴重さを秘めています。
絶滅危惧種とされているキノボリトカゲは名前の通りよく木に登る特性を持っており、民家のそばの木などにくっついていることも少なくありません。
大きいものでは体長が30㎝にも及ぶサイズなため、意識して探せばわりと高い確率で出会うことができるでしょう。

カンムリワシ

カンムリワシ
カンムリワシは東南アジアから沖縄県までのエリアに分布している鳥であり、西表島ではあちこちでその勇壮な姿を目にすることができます。
時には電柱の上に留まっている姿を見せてくれることもあり、天然記念物として指定を受けています。
このカンムリワシが道路で車に轢かれてしまうロードキルが西表島ではたびたび問題になっているため、万が一道路際でカンムリワシの姿を見かけた際は車を減速し、注意しましょう。

セマルハコガメ

セマルハコガメ
セマルハコガメという亀も、西表島に生息している天然記念物の1つです。
敵に襲われると腹部の殻を丸め、箱のように殻を密閉してしまうという面白い特徴を持っています。
土地の開発や飼育目的の乱獲などで世界的には数を減らしている亀であり、西表島で平和に暮らしている姿は貴重です。

リュウキュウアカショウビン

夏場に沖縄の森林で「キョロロロロ」という鳴き声を聞いたなら、それはおそらくリュウキュウアカショウビンが縄張り争いをしている声です。
リュウキュウアカショウビンは赤いくちばしと赤褐色の体をした目立つ鳥であり、本土ではなかなかお目にかかれないカラーリングは、西表島旅行の思い出の1ページに残ってくれることでしょう。

リュウキュウコノハズク

リュウキュウコノハズク
西表島ではフクロウとも出会うことができます。
リュウキュウコノハズクは体長およそ20cmの小型のフクロウであり、主に木の洞などを住処としているようです。
西表島の夜の森でコホー、コホーという鳴き声を聞いたなら、リュウキュウコノハズクが近くにいるかもしれません。

陸の生き物観察なら!星空&ジャングルナイトツアー

野生動物たちは夜に多く活性化します。
動物園などでも最近は夜間営業が人気を博しているように、西表島も動物たちの姿を目にしたいのであればジャングルナイトツアーに参加してみるのがオススメです。
また、日本一とも言われる西表島の星空も合わせて堪能することもできるため、一石二鳥なツアーだと言えるでしょう。

西表島で遭遇する危険生物

西表島の環境は手付かずの大自然。
当然ながら、そこに住んでいるのは可愛かったり無害だったりの人間に都合のいい生物だけではありません。
ここからは西表島観光で遭遇してしまうかもしれない危険生物について、しっかりご紹介させていただこうと思います。

ハブクラゲ

沖縄の海で多くの被害を出しているのが、有毒クラゲであるハブクラゲです。
半透明なため海にその姿が溶け込んでいて視認しにくく、長い触手を持っているため非常に触れてしまいやすいという厄介な生態をしています。
毒性は非常に強く、刺されてしまうと激しい痛みに襲われるうえ、最悪生命に関わってしまうので十分注意してください。

被害にあった時の対処法

ハブクラゲに刺された際の対処法は、はっきりとしています。
まず刺された箇所を無闇に触らないようにし、ハブクラゲを駆除する効果がある食酢を大量に振りかけましょう。
あとは患部を氷などで冷やし、できるだけ早期に近辺の医療機関を受診することが大切です。

カツオノエボシ

ハブクラゲと並んで危険な海の生物とされているのが、電気クラゲとも呼ばれるカツオノエボシです。
刺されると電気ショックを受けたような激痛が走り、2度刺されるとアナフィラキシーショックを起こしてしまう危険な生物です。
ちなみにこのカツオノエボシ、電気クラゲと呼ばれてはいますが、実態はヒドロ虫という虫の集合体となっています。

被害にあった時の対処法

万が一刺されてしまった際はできる限り速やかに陸へと上がり、素手以外の手段で患部から触手を剥がした上で海水で患部を洗いましょう。
1つ注意点として、真水で患部を洗うのは厳禁となっています。
浸透圧の関係で、体内に毒が吸収されやすくなってしまうのです。
あとは急いで医療機関を受診し、適切な処置を施してもらいましょう。

オニダルマオコゼ

海の浅瀬などで岩礁に擬態しているオニダルマオコゼも非常に危険な生物として名が挙がります。
擬態しているため非常に見つけにくく、うっかり踏みつけてしまうとその背中にある猛毒のトゲが足に突き刺さってしまうのです。

被害にあった時の対処法

オニダルマオコゼの毒は非常に強力なため、毒が回って動けなくなり溺れないようすぐ陸へと上がりましょう。
患部を真水で洗い、45℃以上の熱で温めることができれば毒を分解して緩和することができるとされています。
しかし、熱での対処はあくまで応急処置ですので、できるだけ速やかに医療機関へと向かいましょう。

オニヒトデ

オニヒトデもオニダルマオコゼと同様に、全身に毒のトゲを持っている生き物です。
サンゴの下などに隠れている場合がありますので、見えない場所に迂闊に手を差し入れないよう注意しましょう。

被害にあった時の対処法

オニヒトデは、毒の性質がオニダルマオコゼと似ています。
そのため、同じように真水での洗浄、45℃以上の加熱、医療機関の受診で対処が可能となっています。

マダラウミヘビ

細長くストライプ柄のマダラウミヘビも、西表島の海に住まう有毒生物の一種です。
噛まれると神経毒に侵されて動けなくなってしまいますが、基本的にはこちらから手出しをしなければ噛まれることはありません。
見かけた際はちょっかいを出さず、静かに距離を取るようにしましょう。

被害にあった時の対処法

もしマダラウミヘビに噛まれてしまった場合は大変危険です。
噛まれた箇所から心臓へと血が流れないようきつく縛り、毒を絞り出しながら病院へと向かいましょう。
症状が出るまでにタイムラグがある毒ですので、動けるうちの処置と少しでも早く病院に辿り着けるかが生死の分かれ目です。
必ず覚えておきましょう。

サキシマハブ

海だけではなく陸地にも有毒生物は生息しており、沖縄の毒蛇として有名なハブの仲間、サキシマハブがその代表例として挙げられます。
死ぬほどの毒性ではないと言われていますが、それでも噛まれれば痛みが生じ、後遺症が残ってしまう可能性もあるのです。
もし見かけても刺激せず、そっと距離を取るようにしましょう。

被害にあった時の対処法

噛まれてしまった際は毒を吸い出し、患部から心臓に近い箇所を締めすぎない程度のきつさで縛ってください。
走って心拍数を上げると毒の巡りが早まってしまうため、歩くか他の方が運転する車などに乗せてもらって病院へと向かい処置を受けましょう。

安全に西表島の生物観察をするために

毒のある生物を立て続けに紹介させていただいたように、大自然を観光するには相応の危険が付きまといます。
とはいえ、適切な心掛けを持っていれば過度に恐れる必要もありません。
念頭に置いておくべき注意点を上げていきたいと思います。

むやみに生き物を触らない

まず鉄則として、知らない生き物には触れないようにしましょう。
この記事で紹介した以外にも、どんな生き物がどのような特性を持っているかはわからないのが大半です。
リスクを負わずに済むよう、慎重な行動を心がけることが大切です。

できるだけツアーに参加

危険を避けるためには、現地に精通した方のガイドを受けるのが最も安心です。
ガイドの方がいれば知らない生き物を見かけた際も、安全かどうかを適宜尋ねることができます。
安全のためだけでなく存分に楽しむためにも、極力ツアーに参加して観光することがおすすめです。

対処法を理解しておこう

そして大切なのが、もしもの場合に備えてあらかじめ対処法を頭に入れておくことです。
西表島ではどんな観光スポットへ赴く際も、事前にしっかりとリスク要素を下調べしておくよう心掛けましょう。

まとめ

西表島の生物たちについて魅力と危険性の両面からお伝えさせていただきました。
多くの魅力的な生物がいる西表島は、危険生物も多く存在しています。
対処法を理解したうえで島へと赴き、たくさんの生物たちとの出会いを楽しんでみてください。