現地コラム

COLUMN

西表島マングローブの生態や満喫できるアクティビティ・ツアーを徹底解説!

2021-01-13 03:17

西表島でマングローブを堪能しよう!

西表島 クーラ川 マングローブ

多種多様な植物が生育する西表島ですが、日本の他の地域と比べて最も特徴的な植物はマングローブかもしれません。
西表島のマングローブの生育域の規模は、日本の他の場所を圧倒しており、日本で生育しているマングローブのほぼ全ての種をみることができます。
たとえば、西表島の南を流れる仲間川流域は、日本のマングローブ面積の25パーセントほどあるといわれ、日本一のマングローブの流域面積といえるでしょう。
また、大小40ほどある川のほとんどの河口付近には、マングローブが生育していています。
このように、日本国内でマングローブを堪能するには、西表島は最適な場所だといえるでしょう。

 

西表島ってどこにあるの?

西表島 サンガラの滝
マングローブが生育する西表島は、沖縄県の八重山諸島に属する島ですが、日本の最も南西近くに位置しています。
東京からの距離は、約2,100kmです。
沖縄本島からでも400kmほどの距離があり、台湾に非常に近い島で台湾から約100km東にあります。
地理的には北緯24度、東経123度です。
西表島に行くには、石垣島から船で渡ります。
2つの港が西表島にはありますが、一般的なルートを通る場合の所要時間は50分ほどです。

 

西表島の約9割が熱帯雨林

西表島 クーラ川
西表島は亜熱帯性海洋気候に属していて、冬場でも気温は18℃くらいあり、年間平均気温は23℃程度で温暖です。
北回帰線からわずか100kmほどしか離れていないため、熱帯に近い亜熱帯の気候や自然環境にあるといわれています。
そのため、島内では亜熱帯の植物だけではなく熱帯の植物も多く生育していて、約9割が亜熱帯・熱帯の原生林といわれているでしょう。
多種多様な熱帯の原生植物が生育している西表島ですが、このうちマングローブと呼ばれる植物群は、ジャングル気分が味わえたり、これを活かしたアクティビティが楽しめたりするなど、西表島の南国気分を大いに盛り上げてくれます。

 

マングローブの生態

西表島 マングローブSUP

ここでは、マングローブとはいったいどのような植物なのか、その生態、そして西表島で生育するマングローブにはどのような種類があるのか、などについてご紹介していきます。
実は、マングローブという名称の植物の種はないのです。
熱帯や亜熱帯地域の海岸や河口など、淡水と海水が混ざり合うところの塩性湿地に生育する植物の総称をマングローブと呼んでいます。
マングローブが生育するのは、潮間帯と呼ばれる場所です。
潮間帯とは、潮の満ち干の影響がある場所をいいます。
つまり、満潮時には、その場所は海水面に隠れ、干潮時には海水に浸かっていない場所です。
このような場所に生育するため、満潮時には海の中に生えているように見えます。

西表島 コミノクロツグ
西表島のマングローブは、水深の浅い海にできたサンゴ礁と、完全な陸上に生育する植物との間のエリアに生育していて、サンゴ礁とともに、西表島の生態系を形作る大切な役割を担っているのです。
例えば、満潮時には、マングローブの根の付近に小さな魚たちが集まっている様子を見ることができますが、これは根に集まるに生き物たちとって必要な場所を提供しています。
また、世界で生育しているマングローブの種類は完全に確定されていませんが、おおよそ110あるといわれています。

 

根が特徴的

西表島 マングローブ

他の植物に比べて最も特徴的なマングローブの見た目は、その根です。
潮の満ち干に影響を受ける場所が生育環境であるため、その環境に応じて特徴的な根を形成したといわれています。
例えば、風や潮にでも耐えられるように、あるいは満潮時に水面下になったとしても酸欠しないような機能を、マングローブの根は持っているといわれているでしょう。
その見た目が特徴的とされる根は、次の4つがあります。

1.支柱根(しちゅうこん)

西表島 マングローブ 支柱根
タコの足のような形が特徴的で、これは、ヤエヤマヒルギの仲間のみが持ちます。
大きな根となることも多く、力強さが感じられます。

2.膝根(しっこん)

西表島 マングローブ 膝根

人が膝を曲げた形に似たような形が特徴的で、オヒルギの仲間のみが持つ根です。

 

3.筍根(じゅんこん)

タケノコに似ていることからその名が付き、光合成をすることができるという特殊な根です。
その機能から、通気根(つうきこん)や直立通気根(ちょくりつつうきこん)と呼ばれているものです。

4.板根(ばんこん)

西表島 マングローブ 板根

板の形状の根からこの名が付き、熱帯雨林のマングローブに多くみられるものです。
根といっても、大きな板状のため、生活道具など木製細工の材料に使われ、生活に役立てられていた歴史があります。

 

西表島マングローブの種類

西表島で生育するマングローブのうち、代表的なものを以下でご紹介していきます。

ヤエヤマヒルギ

西表島 マングローブ ヤエヤマヒルギ
八重山漂木と書いて、ヤエヤマヒルギと読みます。
波風に耐えられるように、支柱根を持ち、塩性に強いマングローブです。
立派な支柱根は逞しく、力強さを感じます。
樹の高さは、4mから8mほどです。

オヒルギ

西表島 オヒルギ 花
その姿が雄々しいため、「雄」ヒルギとされ、オヒルギという名前となったといわれています。
潮間帯のうちでも、比較的陸に近いところに生育するマングローブです。
マングローブの中でも大きな群生となるため、生育しているエリアはどこも群生規模が大きいのが特徴です。
オヒルギの根は、膝根と呼ばれる形状をしていて、これを地上に張り巡らせています。
樹の高さは、5mから10mと高めです。

写真のように花も特徴的で、赤いタコさんウインナーのとうな形をしています。

メヒルギ

西表島 メヒルギ 花
盆栽のように樹形が美しく、女性のように清楚な印象を与えることから、「雌」ヒルギとされ、メヒルギという名前になったといわれています。
陸側に群生していて、砂の干潟や泥質の湿地に生育しているでしょう。
樹の高さは、2mから3mとやや低めです。

花は白色と綺麗なのが特徴的です。

サキシマスオオノキ

西表島 サキシマスオウノキ
満潮時にわずかに海水が流れ込むエリアに生育する植物です。
その特徴は、大きな板根にあります。
大きな板根は、船の材料に使われたり、木製の鍬として利用されてきた歴史があります。
サキシマスオオノキは、その名前の通り、先島諸島に由来するものです。
西表島の仲間川の上流には、最も樹齢の古いサキシマスオオノキがあります。
ここはパワースポットともいわれているのです。

ニッパヤシ

ニッパヤシ
陸側の湿地で生育するマングローブです。
笹のようなきれいな葉が、上に向かって広がっています。
また、丈夫な殻と繊維からできている果実を実らせることが特徴です。
国内では希少な、茎のないヤシ科の植物で、樹の高さは、2mから4mとやや低いのが特徴です。

 

まとめ

西表島には多種多様な植物が生育していますが、その約9割が亜熱帯の原生植物という手つかずの自然が豊かな環境です。
多種類のマングローブが生育しており、その生育面積も広大なため、日本の他のエリアを圧倒しています。
このように、マングローブを満喫するには、西表島が最適なのです。
マングローブの見た目で特徴的なのは、その根にあります。
根の形は4種類あり、それぞれが生育環境に応じた役割を持っています。
マングローブを満喫するためには、現地のツアーに参加するのが最もお勧めです。
それぞれのアクティビティに応じて、マングローブの楽しみ方も異なるため、その時の気分でツアーを選んでみてはいかがでしょうか。