現地コラム
COLUMN
西表島ジャングルに点在する河川を全制覇しよう
目次
西表島とはどんな島?
西表島は、沖縄県の南西部に浮かぶ島です。
島の約9割が亜熱帯の原生林に覆われており、独自の生態系を持つことから「東洋のガラパゴス」と呼ばれています。
大小あわせて40もの川が流れ、下流部にはマングローブの林が広がる自然豊かな場所です。
世界遺産登録地になっている
そんな西表島ですが、現在では世界自然遺産の登録地となっています。
正式には、奄美大島、徳之島、沖縄本島北部(やんばる)と合わせて、2003年に候補地として選定されていました。
多様な動植物が生息する「生物多様性」と、固有種が多い「生態系」が高く評価されています。
そして、2021年ついに世界自然遺産に登録されることとなりました。
西表島への行き方
かけがえのない自然が息づく西表島は、観光客のために開かれた島でもあります。
西表島へのアクセスをご紹介しましょう。
石垣島から高速フェリーで行く
西表島へは、となりの石垣島から高速フェリーが出ています。
北部の上原港、南部の大原港が、西表島の玄関口です。
石垣島離島ターミナルから、上原港まで約45分、大原港まで約40分かかります。
上原港(うえはらこう)
上原港は西表島の北部にある港で、石垣島からの高速フェリーが運航しています。
シュノーケリングスポットとして有名な星砂の浜や、ウミガメが見られる月の浜がすぐ近くにあり、アクセスは抜群です。
車で10分ほど走れば、ジャングルクルーズやトレッキングに参加できる浦内川があります。
マリユドゥの滝やピナイサーラの滝へ足を延ばすこともできるでしょう。
また、周辺に食事処やカフェが充実しているのも嬉しいポイントです。
大原港(おおはらこう)
大原港は西表島の南部にある港で、石垣島からの高速フェリーが運航しています。
正式名称は仲間港で、広大なマングローブを有する仲間川と直接つながった港です。
大原港発のマングローブクルーズツアーや遊覧船ツアーにすぐ参加できます。
また、大原港からは竹富島や小浜島行きの船が出ているので、離島めぐりの拠点としても便利でしょう。
西表島の大自然!人気の川10選
ここからは、西表島の自然を語るうえで欠かせない、10の人気の川をご紹介します。
仲間川
仲間川は、西表島の南部を流れる川です。
日本に存在するマングローブ全体の25%に当たる、160ヘクタールのマングローブが仲間川流域に生息しており、「仲間川天然保護区域」として国の天然記念物に指定されています。
河口部では川幅が200メートルを超える場所もあり、遊覧船やカヌーによるエコツアーが盛んです。
中流左岸の斜面にはヤエヤマヤシが自生しており、「ウブンドルのヤエヤマヤシ群落」として国の天然記念物に指定されています。
上流には樹齢400年と推測されるサキシマスオウノキの巨木があり、林野庁から森の巨人たち百選に選定されているほど。
西表島を代表する川といえるでしょう。
クーラ川
クーラ川の入り口は、西表島の南の玄関口・上原港から少し東に行ったところにあります。
この「クーラ」という名前には「幸せを呼び込む」という意味があるそうです。
川の周辺には、「世界最大のマメ」といわれるモダマの木、トトロが傘がわりに使っていたクワズイモ、ジュラシック・パークに登場したサキシマスオウノキなどが自生しています。
上流にある「クーラの滝」は幻想的な空間で、フォトスポットとして有名です。
大見謝川
大見謝川は、西表島の北岸の中ほどに河口があります。
県道沿いの大見謝ロードパークからアクセスすることができ、河口周辺に展望台や遊歩道が整備されているでしょう。
川と海との高低差が大きく、岩肌が露出した独特の地形を形作る川です。
そのような特徴から、キャニオニング(川下り)の名所として知られています。
上流部には、目印や道路の無いジャングルが広がっていますので、キャニオニングをする際には必ずツアーに参加しましょう。
浦内川
浦内川は、沖縄県で最大の川です。
川にかかる浦内橋のたもとに、河口付近に広がるマングローブを一望できる展望台があります。
ゆるやかな流れが続いており、遊覧船で上流まで行くことができる川です。
上流の船着場から徒歩40分ほどで、日本の滝百選に選ばれている「マリユドゥの滝」に着きます。
さらに上流には、西表島の聖地ともいわれる「カンビレーの滝」があるでしょう。
ヒナイ川
西表島の北西部に位置する、船浦湾に流れ込む川がヒナイ川です。
日本の重要湿地500に選定されている河口の干潟や、マングローブが生い茂る下流域といった、景色の変化をカヤックに乗って楽しむことができます。
川の中ほどには、沖縄一の落差を誇るピナイサーラの滝があるでしょう。
ゲータ川
ゲータ川は、西表島の北東部にある川です。
河口を出発して、上流のゲータの滝を目指す沢歩きのコースとして親しまれています。
一番目の滝までは片道45分ほどの行程で、子供からお年寄りまでが楽しめるルート。
体力に余裕があれば、二番目、三番目の滝にも行ってみましょう。
仲良川
西表島で3番目に規模の大きな川が、仲良川です。
広い河口部からカヌーに乗って下流のマングローブ地帯を抜け、川幅が狭い中流からはトレッキングで、上流のナーラの滝を目指すことができます。
ナーラの滝には大きくて深い滝壺があり、泳いだり飛び込んだりする滝遊びに最適です。
シイラ川
シイラ川は、西表島の南東部に位置する小さな川です。
河口の水深が比較的浅く、生き物の観察に適しています。
カニやミナミトビハゼを観察したり、ゆったりと釣りを楽しんだりことも可能です。
中流にはサガリバナの群生地があり、7月上旬に一晩だけ咲く「幻の花」を堪能できます。
ユツン川
西表島北東部にあるユツン川は、小さな川ですが、周囲の自然が「濃い」と言われています。
付近に集落がなく、ありのままの姿の自然が残っているからです。
また、河口の干潟で生き物の観察、下流のマングローブ林でカヌー、上流の滝を目指してトレッキングといった複数の楽しみが、小さなエリア内に凝縮されています。
川沿いに咲く野生のランが美しく、観光客に人気があるでしょう。
前良川
聖域・三離御嶽(ミチャーリオン)を河口部に擁する前良川は、西表島の南東部にある川です。
下流域の流れが穏やかなので、前良川のマングローブツアーはカヌー初心者にもおすすめできます。
三離御嶽の敷地内には、板状に隆起した根が特徴的なサキシマスオウノキの群落があり、「古見のサキシマスオウノキ群落」として国の天然記念物に指定されているのです。
見学時は、神職の許可なく聖域に入らないように注意しましょう。
西表島の川で楽しめるアクティビティ
それでは、西表島の川で楽しめるアクティビティをご紹介します。
マングローブ河川SUP/カヌーツアー
西表島を代表する自然といえば、なんといってもマングローブです。
マングローブの林は河川の下流部に広がっていて、探検気分を満喫できます。
鬱蒼とした南国の木々の間を進む、定番のカヌーや新感覚のSUP(スタンドアップパドルボード)がおすすめです。
SUPは、その名の通りボードの上に立ち、パドルで水を漕いで進みます。
安定感抜群で、慣れてくるとボードの上で座ったり立ったり、自由な姿勢で楽しむことが可能です。
周辺での自然観察や、上流でのトレッキングを含むツアーも用意されています。
川に飛び込む!キャニオニング
キャニオニングとは、水と一緒に渓谷を下るアクティビティです。
テーブルのような台形の岩肌を削るように川が流れる西表島では、キャニオニングが盛んに行われています。
川底の地形を知りつくしたガイドと一緒なら、思い切って川に飛び込める場所を教えてもらえますよ。
水と一体になるような爽快感は、キャニオニングならではの醍醐味です。
上流まで歩くトレッキングと組み合わせた一日ツアーや、短めのコースが設定された半日ツアーに参加することが可能となります。
まとめ
今回は、西表島を流れる川と、そこで楽しめるアクティビティをご紹介しました。
鬱蒼としたジャングルだけではない、奥深い魅力と楽しみ方が西表島にはあります。
川のアクティビティを通して、西表島の素敵な思い出を作ってみてはいかがでしょうか。