現地コラム

COLUMN

西表島の生き物・海編

2020-10-20 10:40

みなさんこんにちは!東洋のガラパゴスと称される西表島には多種多様な生物が生息しています。陸にはイリオモテヤマネコやカンムリワなどここでしか観ることのできない固有種が多くいます。海の中にも多様な生態系が存在しています。その理由の一つに国内最大のサンゴ礁があることが挙げられます。サンゴの種類だけでも数百種類おり、そこに生息する海洋生物は数えきれないほど多様です。本記事では、その西表島の多種多様な海洋生物についてご紹介いたします。

多種多様な西表島の海の生き物たち

①ウミガメ

ウミガメ

 

やはり、西表島を含む南国の海といえばウミガメですね。ウミガメといえばハワイのTシャツによく描かれていますが、温暖の海でよく見かけることができます。
いまや、ウミガメは海の中を優雅に泳いでいますが、実はウミガメの祖先は陸で過ごしていたのです。これは驚きですね。

そう、ウミガメとは陸に住んでいたカメが海へ進出したものなんです!進化の過程で、海中で早く泳ぐために手はヒレのように変化し、甲らは水の抵抗を受け難いように流線形へと変化していきました。この進化により、甲らの骨は隙間が多くなりとても軽くなりこのウミガメは早く泳げるようになりました。

全世界でウミガメの種類は8種類といわれています。そのうち、アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイ、ヒメウミガメ、オサガメ、クロウミガメの6種類が日本に生息しているといわれています。ただし、ヒメウミガメ、オサウミガメ、クロウミガメが日本で確認されることは珍しく、日本でよく観察されるのはアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイの3種といわれています。これらの種については西表島のシュノーケリング時にも確認することができます。

マンタ

マンタ

マンタはマントのように広がっている胸鰭からスペイン語でマンタと呼ばれていたことが発祥と言われています。

マンタが生まれたときは体長は約1m、体重は50kg程度と言われています。成長して、大きいでは横幅が6~7m、体重は2t、寿命は約40年と知られており、魚類の中では長生きをする方です。

こう見えて、サメの仲間なのですがプランクトンを捕食します。小さいプランクトンを大量に食する点はヒゲクジラの食性に近いといえますね。

マンタにはオニイトマキエイとナンヨウマンタの大きく2種類の個体があります。

口を観れば簡単に見分けることができます。口の周りが黒いものがオニイトマキエイ、白いものがナンヨウマンタです。

西表島のマンタが観察できるダイビングスポットである「マンタスクランブル」や「マンタシティ」で見られるのは主にナンヨウマンタです。

③ミナミハコフグ

ミナミハコフグはハコフグの仲間であり、和歌山以南の温暖な海に生息する魚です。さかなクンが頭にかぶっているハコフグにとてもよく似ていますが、ミナミハコフグは成魚になると頭部や尾鰭に小さな黒点ができ、幼魚にも体側の黒色斑が眼径大であることからそれぞれを区別することはできます。

体長は成魚で約35cmで、カイメン類や藻類、底生動物を食べる雑食性であることが知られています。水深50m以浅の珊瑚礁や岩礁に生息しているため、シュノーケリング多ダイビング時に見かけることができます。

鮮やかな色彩で観賞魚として人気がありますが、危険を感じるとと皮膚から粘液毒を放出するので、観賞魚としての飼育時、海での観察時には注意が必要です。

④クマノミ

クマノミ

クマノミは知っている方も多いでしょう。ディズニー映画のファインディングニモの主人公のモチーフとしてもなっているこちらの魚はオレンジ色と白と黒のかわいらしい見た目をしています。イソギンチャクの仲間と共生しており、国内でもクマノミ属の魚種は6種が知られています。

頭部と体側にある白色横帯が特徴的であり、オスは尾鰭が黄色でありメスは白っぽいことで見分けられます!

観賞魚として人気があり、丈夫で飼いやすく長生きします。

性格が強いため、シュノーケリングなどで近づいたときにマスクにつんつん当たってくることがあるが、それは威嚇をしておりなついているのではないのであしからず笑

⑤サンゴ

サンゴ

サンゴは一見すると動きがまったくないため植物や鉱物の一種と思われる方もいますが、れっきとした動物であることは間違いありません。実はイソギンチャクやクラゲと同じ刺胞動物と呼ばれる動物の仲間です。

サンゴはポリプと呼ばれる本体部分と石灰質の骨格の部分から構成されています。ポリプは非常に小さいため、ぱっと見ではわかりませんがよく見ると動いているのも確認することができます。ポリプには触手に囲まれた口があり、ここから摂食や排泄、産卵などをすべて行っています。細胞内には褐虫藻を共生させています。

⑥ナンヨウハギ

ナンヨウハギはクマノミ同様にファインディングニモに出てくる主要キャラクターのモチーフになった魚です。作中では物忘れが激しいキャラクターとして紹介されていますが、ナンヨウハギが特筆して記憶力が低いなんてことはなく魚全般は小脳が小さいため記憶力が低いです。この点についてはキャラづくりのために加えられた設定でしょう。

さて、ナンヨウハギの説明に戻りますが、体色は鮮やかな青色をしており、背鰭と臀鰭は青くその縁辺が黒い。胸鰭の先端に黄色部分があり尾鰭は黄色くその上下端は黒色です。

ナンヨウハギは幼魚の時からこの特徴的な色彩を持つ魚であり、その独特な色彩から観賞魚として古くから親しまれてきました。

ナンヨウハギは生息地や食べるものによって多少色合いが変化しますが、現段階で発見されているのはこの一種だけといわれています。

⑦スカシテンジクダイ

スカシテンジクダイは体長が約5cmで体は半透明、尾鰭の後端は黒く縁辺は透明になっています。吻は吻端のみが暗色になっており、オスの場合は体の前半中央部に黄色線があるもののメスにはありません。

珊瑚礁から内湾の岩礁にひろく生息しており、大群をつくることが知られています。半透明な体のスカシテンジクダイの大群に光が当たると反射して銀色にキラキラと光りとても美しく見えます。

小型甲殻類や動物プランクトンを捕食しています。

⑧ゴンズイ

ゴンズイ

ゴンズイは、ぱっと見てうなぎやドジョウのような長ひょろい外見をしており、ひげを4対有してます。います。体側には2本の縦線があり、胸鰭と背鰭に大きな有毒のトゲがあります。

沿岸の岩礁域や砂底に生息しており、幼魚は先ほどご紹介したスカシテンジクダイのように「ゴンズイ玉」とも呼ばれる密集した群れをつくります。スカシテンジクダイとの大きな違いは、群れを成すというよりも密集する形をとる点で大きく異なります。

雑食性であり主に底生動物を捕食しますが、幼魚は他の魚のクリーニングをすることもようです。

⑨ジョーフィッシュ

ジョーフィッシュ

ジョーフィッシュはその愛らしい見た目と生態がとてもかわいい魚です。ジョーフィッシュは巣穴からひょっこり顔を出すことが知られており、カクレクマノミと並び、女性にも人気の高い魚です。

飼育も簡単のため、近年海水魚好きの方の多くは飼育されていたりします。

その愛らしい見た目とは裏腹に砂中に蓄積しがちな病原菌への耐性が強く、海水魚の弱点とされる病気へのかかりやすさがほぼ無いので海水魚の中ではトップクラスで飼育しやすいです。

リスズメダイやシリキルリスズメダイほど簡単とは言えませんが、カクレクマノミよりは難易度が一段落下がります。

⑩ハブクラゲ

沖縄の夏の海で特に注意すべきなのはハブクラゲでしょう。

ハブクラゲはネッタイアンドンクラゲ科のハブクラゲ属に属するクラゲです。傘の直径は10~12cm、4本の足それぞれに1.5mほどの8本の触手があります。

ハブクラゲの毒はとても強力であり、ひとたび刺されると瞬時に激痛がはしります。触手が絡みついた部位にはミミズ腫れや水疱、細胞壊死が生じるほど強力であり、重傷の場合はショック症状による呼吸困難、心肺停止に陥り死に至ることさえあります。

そんな高ランクな危険生物であるハブクラゲですが、その体は青みのある透明色であり水中眼鏡でもかけない限り派遣することは難しいです。また、一般的にクラゲは遊泳能力がほぼありませんが、ハブクラゲは遊泳力が非常に高く、人が歩く程度の速さで移動するといわれています。気づいたら目の前にいて刺されるなんてこともあるので、十分な警戒が必要です。

⑪オニヒトデ

オニヒトデはアカヒトデ目オニヒトデ科に属するヒトデです。ヒトデはウニやナマコと同じ棘皮動物であり、オニヒトデはサンゴを好んで食べる大型のヒトデです。大きいものでは60cm近くなる個体もあるといわれており、10~20本の腕を有し、体表は多数のトゲで覆われています。

オニヒトデの体表を覆っているトゲ棘には強い神経毒があり、誤って刺されると激しい痛みや腫れを生じます。痛みや腫れ以外にも喉がかゆくなる、吐き気、低血圧といった症状が出ることもあります。

オニヒトデが大量発生に伴うサンゴの死滅が一時的に問題になったことがあります。その駆除作業を行っているときにうっかりオニヒトデに触れてしまい刺されることが多発しました。

スズメバチに2度刺されると「アナフィラキシーショック」が起こり、死に至る恐れがあるといわれていますが、これはオニヒトデについても同じことが言えます。

命にかかわることのなので、もしも刺された場合の正しい処置方法を学んでおきましょう。応急処置的にできるのは下記2オペレーションがあるので、迅速に行いましょう。

①できるだけ早く海から出ましょう。

②患部のトゲを抜き、患部を圧迫しながら毒を体外に絞り出しましょう。

⑫ウミへビ

ウミヘビ

ウミへビはコブラ科の毒蛇が海に進出し、海中生活に適応した蛇です。海蛇がコブラの仲間とは、これまた驚きですね。

日本近海に生息するウミヘビはエラブウミヘビ、クロガシラウミヘビ、ヒロオウミヘビ、セグロウミヘビ、アオマダラウミヘビの9種が棲息しているといわれています。

ウミヘビにもいろんな特徴を持ったものがいます。一般的なウミヘビといえば小さな頭をもち、とても温厚な性格であることが知られます。ですが、全身に鱗をまとっておりれっきとした蛇です。その中には人を殺すほどの神経毒を有するものもいます。万が一、大変な事態になる恐れがあるため、海で見かけたとしてもむやみに刺激しないようにしましょう。

⑬カツオノエボシ

カツオノエボシはクダクラゲ目に属する刺胞動物です。クラゲ目ではありますが厳密にはクラゲではなくヒドロ虫という生き物の仲間なんです。1個体に見えるその風貌とは異なり、実はヒドロ虫が多く集まって形成されている群体なんです。

烏帽子のように見える大きさ10cmほどの気胞体は、透き通った青色がかっています。気胞体からは海面下に約10m~約50mにも伸びているといわれています。とても長い触手には強い神経毒を有しており、場合によっては人を死に至らしめるといわれています。

小さな見た目とはうらはらにかなりアグレッシブな生き物なんですね。

⑭ミノカサゴ

ミノカサゴ

ミノカサゴは沿岸域の浅所からやや深い海、岩礁域や岩場混じりの砂底と多くのフィールドに生息する魚です。

背鰭の13本のトゲには毒を有しており、刺されると刺激を伴う。死に至ることはないが、腫れを伴う場合もあります。小魚やエビなどの甲殻類を捕食しており、卵は寒天質の卵嚢に保護して産卵します。

定置網、刺網、底曳網、釣りといったいろんな手法で漁獲されており、白身とても美味なこともあり、よく食べられている。

⑮ヒョウモンダコ

ヒョウモンダコは、体長が約10cmほどの超小型のたこです。ヒョウモンダコは刺激を受けると、体中に鮮やかな瑠璃色のリング状の紋様があらわれます。この模様がヒョウ柄に見えるところから「ヒョウモンダコ」と命名されました。

かわいらしい見た目のヒョウモンダコですが実は恐ろしい一面も持ちあわせています。

ヒョウモンダコの唾液にはフグ毒と同じ神経毒である「テトロドトキシン」が含まれています。

一度咬まれるだけで呼吸困難に繋がる麻痺を引き起こし、酸素不足による心停止に至ることもあります。実際に、死亡例もいくつか報告されているため、とても注意が必要です。

さいごに

西表島の海の生き物についてご紹介いたしました。いかがだったでしょうか。

西表島の海の生き物として、有名なウミガメやクマノミ、マンタなど様々いましたね。中にはウミヘビやヒョウモンダコなどの人を死に至らしめ得る神経毒を有している生物もいました。その点については十分な知見や避ける方法、最悪の事態に備えておきましょう。海では常に危険と隣合わせであることを忘れずに生き物観察も楽しみましょう!

最後まで読んでいただきありがとうございました。