現地コラム

COLUMN

西表島の産業・インフラ・ネット

2020-02-16 06:10

西表島の産業・インフラ・ネット

みなさまは普段の生活で、産業やインフラを意識されることはあるでしょうか。

私たち人間の生活の基盤を支える産業は、社会人の方ならどんな職種であれ、ある程度意識しながら暮らしていると思います。

また、インフラとはインフラストラクチャーの略であり、産業という大きな括りよりもさらに深く、社会の根底を支える諸々を指した言葉です。

例えば、役所や病院、学校などの公共施設に、ガス、水道、電気といったものや、道路、線路、公共交通機関といった交通に関わるもの、さらには電話などを総括しています。

そんな産業やインフラの状況は、土地の立地、風土、人々の気風などによって大きく左右されるもの。

それを踏まえた上で今回取り上げさせていただくのは、沖縄県の離島である西表島の産業・インフラ・ネット環境です。

生活する上で欠かせないインフラと、加えて現代社会には欠かせないネット環境はどうなっているのでしょうか?

本記事では西表島の産業・インフラ・ネットに着目して、現在の状況をご紹介していきたいと思います。

 

 

自然豊かな西表島の産業

上でも触れさせていただきましたが、西表島はその美しい海、山、川、土地から多くの恩恵を受けており、観光として第一産業が大きく発達しています。

西表島の人口は2020年時点でおよそ2400人と少し。

14の集落が島の外周部に沿うように点在しており、コミュニティがしっかりと根付いている島です。

人が集って住んでいるコミュニティがあれば、必ず産業は生まれます。

そこで注目したいのが、西表島を支える産業です。

観光を含め、各産業を順に見ていきましょう。

 

 

①農業

農園の看板

西表島は沖縄本島よりも南西へと400km以上も離れた位置にある島であり、石垣島などを含む八重山諸島に属しています。

その立地柄、本土よりも温暖な亜熱帯気候であり、農業では水稲などに加え、さとうきびやパイナップルといった南国ならではの果物などの生産が行われているのが特徴です。

南国色の強い栽培物は、観光客向けの商品としても積極的に用いられており、サトウキビやパイナップルを用いたデザートなどを扱う店も多数見られます。

パイナップルからはパインビールなども作られており、多くの観光客から人気を集めている一品です。

総じて、観光業と上手く連動しながら収益を上げているという特色が見られます。

ただし、住民の高齢化が進んでいることから後継者不足が深刻な問題となってきており、対策が急がれているのが現状です。

現状の講じられている対策としては、若者の移住を支援する制度や生産性の高い農業の確立、機械の導入による省力化を進めて高齢者の農業への負担を減らすことなどが挙げられます。

 

 

②水産業

魚群

 

西表島はその四方を海に囲まれた離島ですので、水産業も行われています。

沖合漁業ではカツオやマグロ、ソデイカなどを対象とする漁業が盛んで、他にもモズク養殖やクルマエビ養殖などが主な水産業として挙げられるでしょう。

また、沿岸漁業ではシマタコやガサミなどの西表島特産の魚介類を漁獲しています。

西表島特産の魚介類は観光客向けのメニューとしても重宝されており、農業同様水産業も観光業と密接に関わりながら営まれているのです。

 

 

③畜産業

畜産業で特筆すべき点は、ブランド牛である石垣牛を生産しているという点です。

石坂牛は他のブランド牛より骨格が小さいため、長期間を費やして大事に育てられるという特徴があります。

自然豊かで牧歌的な環境は食用牛のストレスフリーな生育にも非常に適しており、餌も西表島でとれたフレッシュな植物が与えられているため、とても美味しいお肉ができるとされているのです。

上述した通り西表島の大部分は人の手が入っていない大森林なため、牛の生育用の土地の面積は限られており、長期間の飼育を強いられることとも合わせて生産量はさほど多くはありません。

しかし、量を補って余りある質に定評があり、とろけるような柔らかさとさっぱりとした味わいからブランド牛として名声を集めています。

もちろん、島内にも石垣牛を提供している飲食店はあり、観光客から高い人気を博しています。

 

 

④観光業

西表島 リバーカヤック

 

観光業は西表島の産業の軸です。

上で挙げた各産業も観光業と絡んでいることからもわかるように、西表島へと外部から訪れる人々の大半は観光を目的としています。

冒頭で述べさせていただいた通り、西表島があるのは本土からは遠く離れた土地であり、本土とは異なる観光に適した環境が特徴です。

まず、本土との一番の相違点と言えるのはその気候で、西表島は亜熱帯気候に属しており年間を通して非常に温暖な気温です。

夏場が暑いのはもちろんのこと、本土では春と秋にあたる時期にも初夏ほどの気温が長く続き、海開きはなんと3月という早さ。

さらに12月から2月にかけての真冬の季節も暖かで、気温が15℃を下回る日は多くありません。

最高気温は20℃を超える日も多く、水辺でのアクティビティを年中通して楽しむことができてしまうという特徴を持っています。

 

また、そんな温暖な環境が恩恵をもたらすのはもちろん人間に対してだけではありません。

暖かで湿り気の多い環境は、長い歳月を費やして西表島の島内に亜熱帯の大ジャングルを育みました。

沖縄県内で本島に次いで2位と島としてはかなり広い面積を持つ西表島のうち、なんと9割以上もの土地がジャングルに覆われているのです。

青く透明な海、燦然と降る常夏の太陽、マングローブに囲まれた川や雄大な滝、さらには鍾乳洞なども人気の観光スポット。

さらに貴重な動物たちも観光資源として重要な役割を果たしており、特別天然記念物イリオモテヤマネコの名前はおそらくご存知の方が多いでしょう。

名前だけでなく、テレビなどで姿を見たことがある方も少なくないかと思います。

そんなイリオモテヤマネコをはじめ、カンムリワシ、ヤエヤマセマルハコガメ、ヨナグニサンなど西表島にはジャングルの環境を住処として貴重な動物たちが多数生息しているでしょう。

植物も土地ならではのものが数多く見られ、その貴重さはユネスコから世界自然遺産の候補地としての指定を受けているほど。

そのことからもわかるように西表島の自然環境は世界的な評価も高く、あの有名なガラパゴスに喩えて東洋のガラパゴスという別名で呼ばれることも。

そのような環境を守るため、西表島は開拓されることなく意図的にジャングルの環境がそのまま残され続けているのです。

 

そんな雄大な自然が生み出した観光名所は多数あるのですが、西表島のジャングルは、初めて訪れた土地勘がない人が安易に踏み込めば迷ってしまいかねない深さが特徴。

そこに大きな需要が生まれ、島では各所で観光スポットを巡るための現地ツアーなどが多数組まれています。

ジャングルクルーズやトレッキング、鍾乳洞でのケイビングなどは現地を熟知したガイドが先導してこそ楽しめるもの。

また、シュノーケリングやダイビング、SUPやカヌー体験などは道具のレンタルを含めて身一つでツアーに参加できるような体制が整えられています。

さらに西表島は北半球と南半球両方の星座を見ることができるなど星空が美しいことにも定評のある島なのですが、夜の島は光源が少なく観光客だけでは移動もままなりません。

そんな需要に応えるべくナイトツアーなども実施されており、動物たちが活性化する夜のジャングルと併せて多くの人々に楽しまれています。

 

島に2つある港の付近には観光客向けの宿が多く、自由な移動に欠かせないレンタカーショップも多数あることから観光地としての環境は非常に整っていると言えるでしょう。

総じて、自然豊かな環境を利用した観光業は西表島を大きく支える産業の一つとなっていると言えます。

 

 

インフラ施設

続いて、生活に欠かせないインフラ施設を見ていきましょう。

島の9割以上が未開拓のジャングルに覆われている西表島ですが、インフラは整っているのでしょうか。

 

①町道

まずは、移動に欠かせない道路からご紹介します。

生活圏内についてはしっかりと整備されており、生活への支障はありません。

島の全域に道路を行き渡らせるという方針ではなく、環境保全の観点から必要な場所をしっかりと選定して作られています。

また、補修が必要な場合はすぐに整備されるため、非常に綺麗な町道が伸びているでしょう。

大まかには島の北から東部にかけての外周に沿って道路が通っており、観光客が訪れる上原港、大原港からレンタカー移動で主要な地域は回れるような造りとなっているのが特徴です。

 

②農道

地方交付税の投資補正の対象となる一定要件農道についてはほとんどが路面舗装されており、足りない部分については随時補修が行われています。

その一方で、一定要件以外の農道については、上で述べた農業従事者の減少などの問題と関連して舗装に十分な検討が必要とされており、あまり整備されていないのが現状です。

 

③簡易水道

水道については居住区全域に行き渡っており、問題なく使用することができます。

随時、施設点検、メンテナンスなどの適時点検を実施しているため、水道施設の安全性についても心配は無用でしょう。

 

④公共下水道・農業集落排水

本土と変わらず、公共下水道が有するべき機能を十分に持ちあわせています。

点検、清掃、補修による施設の長寿命化を図っているため、安心して利用できる設備です。

 

 

西表島のネット事情

最後は現代社会に欠かせないネット事情についてです。

西表島は本土より台湾に近い離島であり島の90%以上が未開発ですが、そもそもインターネットを使用することはできるのか、使えても場所に制限があるのかをまとめてご紹介いたします。

 

 

そもそもネットは繋がるの?

さて結論から言うと、ネット環境もしっかりと整っています。

もちろん島内の僻地はその限りではありませんが、基本的には使用できると考えて問題ありかせん。

いまや旅の必需品であるスマートフォンも問題なく使用することができますが、使用場所やキャリアによって通信速度の差があることには留意しておきましょう。

auを使用されている方は不自由を感じることなくどこでも使用可能と考えて問題ありません。

au回線の格安スマホであっても、問題なく動作することが確認されています。

一方softbank、docomoについては、建物中で使用できない場合があるため注意が必要です。

 

 

離島観光のおもてなしインフラ

日本最南端に位置する竹富町は、 平成22年「竹富町観光立町宣言」を宣言、 周遊観光の推進と特産品の販路拡大を目指しています。

自然・景観保護と観光活性化の両立に向け、 行政・町民が一体となった取り組みを重ねる中、 その中核インフラとしてスタートしたのが「竹富町フリーWi-Fi」です。

町内各島の船舶旅客待合所(ターミナル)や主要な観光スポット、公共の宿泊施設などに設置された高品質フリースポットを経由してWi-Fi電波の発信が行われています。

これにより、観光客および地域住民は安定したWi-Fi接続・インターネット利用を無料で楽しめるようになりました。

 

 

西表島の無料wi-fiスポット

こちらは西表島内の観光スポットとwi-fiスポットです。

旅行中に随時確認してご利用ください。

 

(下記のような地図を添付)

 https://www.town.taketomi.lg.jp/userfiles/files/topics/seisakusuishin/IT/taketomifreewifi.pdf

 

 

さいごに

西表島の産業・インフラ・ネットをご紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか。

一次産業、観光業が発達している点は沖縄県全体の傾向と合致しており、観光資源が豊かであることの表れと言えます。

十分に構築されたインフラと充実したインターネット環境から見るに、過不足なく快適な生活を送れる環境だと言えるでしょう。

観光される方も長期滞在をお考えの方も、ぜひ西表島で快適な南国風情を楽しんでくださいね。