現地コラム
COLUMN
上原港・大原港
目次
上原港・大原港
みなさまは西表島をご存知でしょうか。
西表島は沖縄県にある島で、本島から南西に400km以上の場所に位置している離島です。
沖縄本島よりも台湾の方が近いというぐらいの立地であり、島の面積の大部分が亜熱帯のジャングルに覆われているため空港がありません。
そのため、西表島へと赴くための交通手段は船のみ。
そんな西表島には玄関口となる港が二つあり、それぞれ上原港と大原港という名称です。
島の北部と南部に位置する別々の港ですので、当然ながらアクセスの仕方や、そこにある商業施設、体験できるアクティビティは異なります。
季節ごとの運航状況、港周辺の設備、借りたレンタカーを置いておける場所や、あるいは車のまま離島へ移動することはできるのかなど、状況・目的に応じて、港選びも考えなくてはなりません。
そこで今回は上原港・大原港について、さまざまな角度からご紹介させていただきます。
石垣島からのアクセス
まずは詳細なアクセス方法から見ていきましょう。
上で述べた通り沖縄本島からは大きく離れた位置にある島のため、西表島へと向かう高速船が出ているのは本島からではありません。
船は同じ八重山諸島に属している石垣島からのみ出ていますので、まずは直行便、または那覇経由のどちらかの飛行機で石垣島へと向かいましょう。
石垣空港から石垣港へと移動し、そこにある石垣港離島ターミナルという施設に移動するとそこから西表島行きの船が出ています。
上原港・大原港へ向かうための船には高速船とフェリーの二種類があり、主に安栄観光・八重山観光フェリー・石垣島ドリーム観光の3社によって運営されているのが現在の状況です。
①両港のフェリーの運行比較
それでは両港のフェリーはどのくらい運航しているのでしょうか?
■各社の1日の運航本数は以下の通りです。
・安栄観光・八重山観光フェリー(共同運航)
上原港行: 8~10本
大原港行: 12本
・石垣島ドリーム観光
上原港行: 1本(鳩間島経由)
大原港行: 6本
安栄観光・八重山観光フェリーは共同運航しているため、まとめさせていただきました。
いずれも上原港へ向かう便より、明らかに大原港行きの便の方が多いですね。
西表島へ向かう際の時間の融通という観点では、より大原港の利便性が良いことが分かります。
では、それぞれの航路の運航時間に違いはあるのでしょうか?
まず、石垣島-上原港間は高速船で40分ほど。
一方で石垣島-大原港間は約30分程度の船旅となっており、所要時間で見ても若干ですが大原港に軍配が上がる結果となりました。
さらに特筆すべきは上原港へ向かう船は冬場に欠航が多いという点。
そもそもの西表島の気象的な特徴として、四方を海に囲まれているため常に風が強いということが挙げられます。
その傾向が風を遮るものが何もない石垣港から上原港間の航路においてはひときわ強く、風が強い日に大きく影響を受けて海が荒れ、波が高くなってしまいやすいのです。
比べて、石垣港から大原港間の航路は北側に竹富島と小浜島、南側に黒島と複数の島が位置しており、その島が風を遮ってくれる中を運航できるため、波が高くならず欠航しにくいでしょう。
冬場の上原港との航路においては、天気の優れない日が多かった月だと、なんと月を通して半分以上の便が欠航することもあるほど。
運行状況については事前の確認を十分にしておきましょう。
以上のことから、石垣港からのアクセスという観点においては大原港の方が優れていることが一目瞭然だと言えます。
②カーフェリー比較
西表島を訪れた際、島内のあちこちを巡りたいのであればレンタカーの利用が定番です。
西表島は沖縄本島よりも400km以上南西という立地をしており、本土とは異なる亜熱帯気候が特徴で、その温暖な気候が影響した雄大なジャングルに島の90%以上の面積を覆われています。
その自然の豊かさは東洋のガラパゴスと称されているほどであり、未開拓なままの土地が多いことから公共交通機関だけに頼ったのでは不自由を感じることが多いでしょう。
二つの港の周辺にも観光客向けに複数のレンタカー業者が出店しており、レンタカー利用は必須とまで言えるかもしれません。
また、長めの旅行日程を組んで石垣島、西表島の両方を楽しもうということで石垣島にて既にレンタカーを借りているという場合もあるでしょう。
そういった場合に利用を検討したいのが、自動車を一緒に載せて運んでくれるカーフェリーです。
カーフェリーは大原港行き・上原港行きともに運航しているため、いずれの港を目指す際も石垣島で借りた車をそのまま西表島へ持ち込んで利用することができます。
ただし、いずれのルートも高速船を利用した際よりは時間がかかることに留意しておきましょう。
石垣島-大原港間は約45分程度でのアクセス。
石垣島-上原港間では鳩間島を経由する航路となるため、およそ1時間50分ほど時間を要します。
到着後に現地ツアーへの参加などを予定している場合はたっぷりと時間に余裕を見て計画を組むようにしましょう。
所要時間を踏まえると、カーフェリー利用においても大原港がよりアクセス性良好に見えますね。
ですが実は、大原港行のフェリーは週に3日しか運航していません。
大原港へと向かいたいのであれば、旅行の日程と運航日を照らし合わせて、自分が訪れる日に大原港行きのカーフェリーを利用可能か把握しておきたいところです。
日程が噛み合わなかった場合は上原港行きに乗る必要があるので、事前のチェックは欠かさないようにしましょう。
ちなみに二港の間をレンタカーで移動する場合の時間目安はおよそ1時間となっています。
■カーフェリーの所要時間と料金
【上原港行】
・所要時間: 高速船:約40~45分
フェリー:約1時間50分
・運賃: 高速船:2,360円
フェリー:1,720円
・運航日: 月曜~土曜
【大原港行】
・所要時間: 高速船:約30~35分
フェリー:約45~90分
・運賃: 高速船:1,800円
フェリー:1,330円
・運航日: 水曜日、木曜日、土曜日
上原港のメリット
ここまでご紹介させていただいた内容だと、大原港の方が圧倒的に便利なように感じられているのではないでしょうか。
実際、石垣島からのアクセス性については大原港の方が優れているかもしれません。
しかし、実は到着後の観光のしやすさにおいては上原港の方が優れている点が多いのです。
まず、シュノーケリングやダイビングなどのマリンアクティビティを楽しみたい方にとっては、マリンアクティビティができるビーチまでの距離が近い上原港がオススメ。
西表島の海は沖縄県の離島の例に漏れず、サンゴ礁が豊富で青く美しく、透明感に溢れた色合いを誇っています。
特に星砂の浜と呼ばれるビーチにはたくさんの星砂が集まっており、サンゴの破片が積もって形成された白く輝く砂浜と相まって最高の南国旅情を感じさせてくれるはず。
他にもウミガメとの遭遇率が高い月ヶ浜、夕景がとてもきれいな中野海岸などは、いずれも上原港から近い立地となっています。
車を利用すれば数分、歩いても行けなくはない距離であり、コンパクトな範囲で大充実のマリンアクティビティを体験できるでしょう。
さらに上原港の近辺はビーチだけでなく、川のアクティビティも盛んです。
上原港から車で約10分の場所には沖縄県最長の浦内川があります。
長く伸びる浦内川の周りにはジャングルが広がっていて、その土地柄クルージングやトレッキングが盛んに行われているのです。
近くでは雰囲気抜群のマリユドゥや沖縄県最高落差を誇るピナイサーラの滝など数々の滝を鑑賞することもでき、さまざまなロケーションと出会うことができるでしょう。
マリンアクティビティとリバーアクティビティの両方を希望される方は、間違いなく上原港を利用されるのがベストだと言えます。
そして、観光において気になるのが周辺施設。
飲食店、お土産屋、そして旅行に欠かせない宿泊施設の数を比較すると、大原港よりは上原港の方が充実しています。
また、上原港は徒歩圏内に郷土料理が提供される食事処やロハスな島カフェが多くあり、食事するには最適です。
西表島の主な移動手段はレンタカーですので、お酒を飲んでしまった後は長距離を移動することはできません。
公共交通機関も遅い時間には動いていませんし、飲酒運転はもちろんしてはいけないので、食後の移動は常に意識しておきたいところ。
お酒を飲まれる方にとって、飲食店と宿が徒歩圏内に多数あるという環境は嬉しい要素と言えるでしょう。
素敵なペンションや親切なオーナーが経営する民宿などの宿泊施設も充実しており、食事も宿も好みのロケーションを選びやすい環境だと言えます。
大原港のメリット
上原港はアクティビティにお食事処に宿泊施設と魅力的な点が満載でしたね。
それでは、大原港はどうでしょうか?
大原港の近辺はビーチを楽しむというよりも山や川での遊びがメインになります。
大自然溢れる仲間川でのマングローブクルーズが大原港近辺では定番の人気アクティビティ。
さらにNo.1観光スポットとしても知られる由布島行の水牛車乗り場もあり、水牛に揺られ、民謡を聞きながら青い海を渡っていくのは極上の時間です。
観光地的な雰囲気が強い上原港周辺と比べると、大原港周辺はどこか牧歌的なムードが漂っています。
特に夜ともなると港の周辺はとても静かで、忙しない日常から離れて時間に追われることなくゆったり南国を味わいたい、という方にはこちらがオススメです。
また、上原港ほどの充実度ではありませんが、こちらも飲食店や商業施設はある程度過不足なく揃っているため、大きく困ることはないでしょう。
アクティビティやショッピングなど活発な旅行を楽しめる上原港に対して、しっとりとした島時間的な旅行を堪能したい方には大原港が良いかもしれませんね。
港選びの注意点
両港ともそれぞれメリットがありました。
アクティビティや商業施設が多く連なる上原港ですが、フェリーの本数が少ない点や、冬期に運休見合わせになることが多い点はネックであるため十分注意しましょう。
場合によっては大原港に行き、レンタカーもしくは路面電車の選択肢も視野に入れておくと柔軟に対応できます。
両港を行き来するには?
上原港行くはずが大原港に行ってしまった。
あるいは逆のパターンも含め、土地勘が無い場所だとついつい間違ってしまうことありますよね。
レンタカーを借りようにも帰る際の返却のことを考えると、宿を取っているのと逆側の港の近くでは借りたくない、と八方塞がりに感じてしまうかもしれません。
しかしそんな時もご安心ください。
西表島には公共交通機関として、両港を結ぶ西表島路線バスが運行しています。
バス運行本数は一日4本で、乗車料金は片道大人940円。
大原港-上原港間では停留所が4つあるのですが、なんと驚きなことにバス停以外の場所でも自由に乗り降りできるというゆるいシステムとなっています。
港を間違えたというケース以外にも、ご興味をお持ちの方はあえて利用してみるのも面白いかもしれませんね。
さいごに
西表島の入り口「上原港、大原港」についてご紹介させていただきました。
アクセス性や利便性、二つの港にはそれぞれのメリットデメリットがあり、一概にどちらが良いと言えるものではないと思っていただけたでしょうか。
それなりに距離が離れているため、利用した側の港だけを見ることになりがちですが、観光がてらに利用しなかった側の港を見学しに行って見比べてみるのも面白いかもしれませんよ。
旅の成否を決めるのは下準備です。
航路や運航スケジュールをしっかりと把握した上で、最高の西表島旅にしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。