現地コラム
COLUMN
西表島の医療
目次
観光地『西表島』に病院はある?
旅にはハプニングがつきものです。特に、アクティビティ豊富な西表島旅行ではしっかり気を付けていてもケガをするかもしれません。また、本土と環境も変わるので体調も崩すかもしれません。
西表島は90%が未開拓の地であり自然がそのまま現存する豊かな島で知られますが、緊急時に駆け付けられる病院はあるのでしょうか。
結論、ありません。石垣島以外の八重山諸島を有する竹富町には病院がないのです。
それでは、西表島で生活する人たちは体調を崩しても通院しないのでしょうか?
いいえ、違います。実は病院はありませんが、その代わりに診療所があるのです。
法律上、この二つの医療機関にははっきりとした違いがあります。
患者が入院できるベッドの数が20床以上の医療機関を病院と呼んでおり、一方19床未満のものを診療所と呼んでいます。
専門性が高く、高い技術を要する重症患者は入院を伴うことが多いため入院医療を中心に扱う病院が適しています。逆に、診療所は入院床数が少ないため、外来中心の医療に適していおり、”かかりつけ医の役割もまた担っています。
地元民の方も軽度な病であれば島内の診療所に通いますが、重度なものになると島外へ足を運んでいることが分かります。
西表島の診療所
それでは西表島にはどういった診療所があるのでしょうか?
西表島には、大原診療所と西表西部診療所の2つの診療所があります。
西表島は竹富町の中で最も面積が広く島民が最も多い島であり、島民は大きく分けて東部と西部に2分して暮らしています。
そのためか先ほどご紹介した診療所は東部と西部に分かれて1カ所ずつあります。
それぞれの診療所の詳細はこちらです。
~大原診療所~
西表島東部に位置する病院
アクセス: 沖縄県八重山郡竹富町字南風見201-131
電話番号: 0980-85-5516
受付時間: 8:30~11:30、13:30~16:30
休診日 : 水曜午後(訪問診療のため休み)、土、日、祝
診療科目: 全科プライマリケア
診療設備: 各種血液検査、心電図検査、レントゲン撮影、腹部超音波検査
診療体制: 医師1名、看護師1名
診療圏 : 豊原・大原・大富・古見・美原・高那
~西表西部診療所~
西表島西部に位置する病院
アクセス: 沖縄県八重山郡竹富町字西表694
電話番号: 0980-85-6249
受付時間: 8:30~11:30、13:30~16:30
休診日 : 火曜午後(訪問診療のため休み)、木曜午後(鳩間巡回や老人ホーム診療)、土、日、祝
診療科目: 全科
診療設備: レントゲン、エコー、心電図、除細動器、簡易血液検査
診療体制: 医師1名、看護師1名、事務員1名
診療圏 : 西表島西部全体、鳩間島
診療所の特徴
病院よりも規模が小さいといえど、立派な医療機関です。医療機関が少ない中で診療科目が全科目診て頂けるのは島民にとっても嬉しいですね
おじぃやおばぁから子どもまですべての島民のどんな症状も診断対象です。
内科、外科、循環器科、整形外科、皮膚科といった幅広い診療を受けることができる環境は島民にとってとても安心出来ること間違いなしです。
本土の病院だと耳鼻科だけ、内科だけと一部の科に特化した医療がメインになりますがおひとりのお医者さんでそれを網羅するのは本当にすごいですね。まさに歩く総合医療機関です。
①お医者さんと島民との距離が近い
約1,500人の島民に対して2人のお医者さんであることから、多忙であることは間違いありません。
ですが、島のお医者さまはとても丁寧で島民ひとりひとりのことをしっかり診てくれます。
通院と関係のない以前の通院歴やさまざまな話題で心のケアもしつつ、丁寧に対応していただけます。
島民の全世代が安心して暮らせるように日々支えてくれる島の医者さんに頭が上がりませんね。
②西表島の診療所でできないこと
全科目に対応してる西表島の診療所ですが、そんなオールマイティな診療所ですができないこともあります。
まず、上でもご説明した通り病院に比べて入院者受け入れのベッドの数が少ないです。そのため、大量の入院患者の対応が出来かねます。
他には大規模病院にあるような胸部以外のレントゲン、精密検査などはありません。そのため、重症患者や高度な技術を要する外科手術などは行うことができません。
西表島の診療所で対処できないケースは石垣島の病院に行く必要があります。
フェリーだと本数も限られるため、緊急性が高い場合は医療用ヘリポートより石垣島からヘリが来て搬送となります。
西表島石垣島間の病院・診療所
竹富町の5島には、病院が無い代わりに下記の6つ診療所があります。
西表島(2件)、小浜島、波照間島:県立八重山病院附属の診療所
竹富島、黒島:町営の診療所
竹富島の中でも鳩間島と新城島には医療機関がないため、上でもご紹介した通り鳩間島は西表西部診療所、新城島は大原診療所が担当するようになっています。
診療を受ける前の注意点
診察時間内の通院のルールを守ること
上でも紹介した通り、島民数千に対して医師は数人とリソースは限られます。そんな深刻な人材問題の中、緊急性を要しない容態で診察外時間外に医療を受けようとすると、医師も看護師も疲労困憊してしまいます。
その結果、本来診るべき患者さんの診察ができないなんてこともあり得ます。
そこで、診療所受診する時には下記の2点について留意しましょう。
・診療時間内に受診する
・夜間と土日祝の緊急時は119へ電話する。
診療時間内に受診を!
上で紹介した通り、西表島の診療所は医師1名・看護師1名体制であり、24時間での対応は物理的に不可能なため夜間や土日祝に医師や看護師の方が待機できるとは限りません。
普段からお世話になっているお医者さまなので、多くの島民の方は理解があるのですが、観光客の方は残念ながらその意識が無く、軽度の症状でも時間外診療を求めることが多々あるようです。
本来は、貴重な島医者の方々のことを気遣う必要がありますが、遺憾なことながら2019年の夏に下記の緊急対応が取られることが決定しました。
・月火水の夜間は大原診療所が対応
・木金の夜間は西部診療所が対応
医療機関までの緊急搬送は西部と東部それぞれの地域の消防団の方々が対応することになっています。
お医者さま、看護師の方、西表島住民みんなで西表島医療を支えています。そのため、観光で行かれる方は緊急を要しない限り診療時間内の受付を行うようにお願いします。
その前に、せっかくの西表島旅を楽しむためにも健康で過ごすようにしましょう。
健康に西表島で過ごすには
健康で過ごすことは、旅行を存分に楽しむ自分のために、島医療を支える医師、看護師、島民のためにも大事です。
下のことについて気をつけて西表島ライフを過ごしましょう。
①体調が悪ければ旅行のキャンセルも考える
②アクティビティ参加時のルールを守る
③何事も無理しない
さいごに
西表島の医療についてご紹介しました。いかがだったでしょうか?
1500人近くの島民をひとりのお医者さんで対応していることには驚きでしたね。
また、診療時間外の対応など島全体で医療を支えていることもご理解いただけたと思います。
観光時には自分のためにも西表島民のためにも健康を崩さないように過ごすようにしましょう。
あなたの最高の旅にお役立てればと思います!
最後までお読みいただきありがとうございました。